東日本大震災報告 - 断片的体験報告(3)

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報告者 佐藤宝倉

最後に記しておきたいのは、尊敬すべき「老師」の一言である。彼も、100名以上の家族親戚友人を失った被災者の一人である。「みんな土足で入ってくる」と、私たちボランティアによる善意に満ちた美しい話の輪が広がっていく最中に、彼は唐突にそう言い放つのである。「決してそんなつもりはないし、あなたが日々、遺体確認に四方八方足り回っていることも知っている。私たちのボランティア活動は決して見せびらかしでも、clip_image002自分の名誉のためでもない。でも、あなたを傷つけているのだろうか」と内省していると、老師曰く。「私はそれでもいいと思っています。私たちのこの被災した姿、家族も家も失って悲嘆にくれている姿を見て、ボランティアの皆さんが何かを感じてくれるなら。私たちがこの惨めな姿をさらけ出し、ボランティアのみなさんが私たちを助け、その仕事を通して皆さんが喜んでくれるのなら、私はそれでもいいと思っています」。ガッツーーゥン!(完)

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